ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

続き ブラックリスト シーズン5最終話までのネタバレを含むレッドの正体についての考察

きのうの続きです。

※『ブラックリスト』シーズン5最終話までのネタバレを含みます。


2)レッドはリズに嘘をつかない
 
まぁ、「レイモンド・レディントンじゃなかった」時点で最大級の大嘘をついていたわけですが。
ボーケンキャンプさん曰く、「レッドはリズにはだいたい本当のことを言っている」らしいので、例えば
 
リ「あなたは私の父親なの?」
レ「違う」
 
とかの会話は本当である可能性があります。ただ、「リズはレッドが今まで話してきたことを再検証する必要がある」とも言っています。もう、なんやねん!
この「父親か否か」というのが言葉遊びができる部分で、海外でなされているという「レッド=カタリーナ」説はこの論理では成り立ってしまうんですよね。しかも、例えばリズはレッドに対して「私はあなたの娘なの?」とは聞かないんですよね。「あなたは私の父親なの?」って聞くんです。なので、この辺の言葉尻はしっかり捉えないとダメだと思うんですよね。
 
「父親ではないけど親ではある」。
 
これが一番説明は付く設定なんです。性転換までしちゃったんならドムじいが「すごく怒っているけど偽レッドを憎んでいるわけでもない」理由にもなるしなぁ。リズへの無償の愛の理由も説明がつくし。が、でもいくら説明がついても納得できるかと言われれば無理ですよね。いくら整形して、性転換までしても、あんな美女が現在のジェームズ・スペイダーになるだなんて……ねぇ?
余談ですが、若いころのジェームズ・スペイダーはそれはそれは美しかった(若いころのヒュー・グラントアメリカ人にした感じの優男)のですが、やっぱり女性が性転換してあぁなったっていうのには無理がある。
とはいえ、こう、シャーロック・ホームズメソッドと言いますか、「不可能を取り除いていって最後に残ったものは、それがどれだけ有り得なさそうであっても、事実だ」ってやつを元に考えると、こんなオチだと納得はしないけど辻褄は合っちゃうよねっていうさ。
 
ただ、もしも偽レッドがカタリーナだとすると、レッドがフィルムを引っ張り出して嬉しそうに観てた女の子は誰なの、とか、1987年にバレエの発表会に出たのは誰なの、とか、マデリーン・プラットに語った「血まみれのクリスマス事件(※1)」の話はどうなるの、とか、疑問が出てきます。
ひとつ説明をつけるとしたら、レッドが見てたフィルムは自分が子供のころのフィルムってとこでしょうか。女の子だったころの、自分が自分であったころの。カタリーナが子供だった頃のフィルムが、カラーであんなに綺麗に残っているかどうかは疑問ですが。カタリーナがいつ生まれたのかにもよりますが、ギリギリ許せて1965年生まれ(リズを20歳で産んだことになるから微妙ですけど)。1987年の『白鳥の湖』に出たのは自分、とか。カタリーナもバレエをしていたみたいな話がカークとの昔話に出てきましたしね。でも「わりと産後すぐなのに出れるかな」とかも思いますネ!
 
でも一個だけ説明がつかないのが「血まみれのクリスマス事件」です。たぶん、この話は嘘じゃないと思うんですよね。実は「妻」のことはこの話では出て来ないんですよ。娘のことだけ。これなら自分は母親の方だったと言えなくもないんですが、ここで自分のことを”Daddy”とはっきり言ってるのですよね。まぁ自分の性別入れ替えて話してる可能性もありますけどもね。
そして偽レッドの家族がどうなったかはわからないんですよね。こっちに提示されているのは「クリスマスの日に偽レッドが家に帰ったら家中血まみれになっていた」ということだけ。この「血まみれのクリスマス」事件の話は結構切ない話で、エピソードとしては大好きなんですが。
閑話休題。初代刑事局長(クーパーの上司)だったダイアン・ファウラーは結社の回し者で、レッドに殺されそうになったときに「クリスマスの夜、あなたのご家族に何があったか知りたくないの?」と言っているので、「血まみれのクリスマス」事件は確かにあったんでしょう。
 
シーズン4のどの話だったかは覚えてないのですが、偽レッドが「兄を殺されて復讐心に燃えるアイルランド人を止めるのは無理だ」という場面があって(カークに尋問されてる時だったかなぁ)、偽レッドとレイモンド・レディントンが兄弟とか、って思ったりしたけど、それだとドミニクとの関係がさぁ、分かんなくなるよね。
 
1 血まみれのクリスマス事件
クリスマスの日、偽レッドは家に向けて車を走らせていた。家に帰れるのが嬉しくて、ガソリンがどれだけ残っているのか確認もしなかった。家までまだかなり距離がある場所で、車はついにガス欠で動かなくなってしまった。レッドは途方に暮れ、自分だけでも家に帰るべく、車いっぱいのプレゼントを残したまま歩き始めた。あたりは一面の雪景色で最悪の気分だったが、そのうち、楽しい気分になってきた。クリスマスにガス欠で家に帰れなくなった間抜けなパパの話は、毎年クリスマスで語られる家族の笑い話になるんじゃないかと。そうして家に帰りついたら、妻と子供の姿はなく、家中血まみれになっていた。