ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

『グッド・オーメンズ2』ネタバレ感想その3 自分でいるのも楽じゃない

『グッド・オーメンズ2』のネタバレと『グッド・プレイス』のかなり重要なネタバレを含みます。『グッド・プレイス』の方はマジで一番のネタバレなので未見の方は絶対に読まないでください。余談ですがネットフリックスで見れる『グッド・プレイス』はめっちゃくちゃいいドラマなのでみなさんぜひ見てください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何週目かの『グッド・オーメンズ』と『グッド・オーメンズ2』を見てます。

で、「アジラフェルとクロウリーの愛の物語」ってだけではなく「自分として生きることがいかに難しいか」と「自分として生きるために受け入れるべき孤独」がこのお話のテーマの一つなんだなぁと感じました。

 

特にシーズン2の第2話、ヨブの家の地下室での会話

アジラフェル、牛を貪り食いながら

 

ア「認めろ、君も少しはこっちの味方だろ」

ク「ほんの少しも味方じゃない」

ア「でも地獄側じゃないだろ」

ク「地獄に従おうとしてるだけ。できる限り」

ア「じゃあどっちの味方だ」

ク「俺の味方」

ア「そうか。それはちょっと……」

ク「なんだ」

ア「孤独だな」

ク「孤独? 孤独なんかじゃない」

ク「お前は誰の味方だ?」

ア「神に決まってる」

ク「ハァ、そうか。子供を殺させようとした?」

ア「……ぁぁ……。でも……」

ク「あぁ、俺もそうやって始まった。地獄で会おう」

 

 

そしてヨブの家族を元に戻した後、海辺での会話

嘘をついて神のみ心を妨げた、もう私は悪魔になったんだととメソメソ泣くアジラフェルを「悪魔なわけないじゃん」と慰めるクロウリー

 

ア「じゃあ私は何者だ?」

ク「ただの天使だろ? 自分にできる範囲で天国に従おうとする」

ア「それはちょっと……」

ク「孤独?」

ア「(無言でコクコクうなずく)」

ク「あぁ」

ア「君は違うと」

ク「俺は悪魔だ。嘘をついた」

 

天国でも地獄でも誰も「神の偉大なる計画」に疑問を持たない。というか天国は自分を持った瞬間に地獄行きという超ハードモードな世界だし(一つ聞くけどそこってホントに天国か? マイケルが作った「悪いところ」なんじゃないの?←突然の『グッド・プレイス』)、それが当たり前の社会で「自分」を持ってしまったらそりゃあ生きづらいでしょう。

で、それぞれにそういう孤独を背負っている2人だからこその The one and only な関係なんだろうなと。

組織に従って何も考えずに生きるのは楽ちんだけどそこに自由はない。

でも自由には孤独という代償が伴う。

 

自分の心を捨てきれず流れに乗れなかった2人。

 

だからこそやっぱりシーズン2のラストは決別以外にはなかったんだなと思います。

現時点では相反する2人の希望、どっちもかなえるには何をどうしなきゃいけなのかな。

 

しかし「個人」でいることの困難さがテーマになるくらいなんだから、欧米は個人主義って言われるけどやっぱ普通に協調性がないとやっていけないんだろうなと思います。国が違うからってそんなに変わんないわな。人間だもの。