ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

『グッド・オーメンズ2』ネタバレ感想その2

昨日よりはかなり落ち着いたのでもうちょっと落ち着いて感想を書こうと思います。

 

いや実は、最初シーズン2は見なくてもいいかなくらいに思ってたんですよ。

だってシーズン1があまりに完ぺきだったし、本当にきれいに収まっていたのであれ以上何かいる? と思っていて。それもあって(それだけじゃないけど)出足が遅れて完全に乗り遅れました(汗)。

あんまり期待せずに見た結果すごく楽しめたんですけど、ただ、やっぱり物語のクオリティという意味では前作には足元にも及ばないかな……というのが感想です。

 

でもね! でもね! 完成度は前作に遠く及ばないけど、前作よりも心をかき乱されてるのもまた事実なんですよ! それはもちろんあのラストのせいです。

 

 

前回の記事にも書いた通り、このシーズン2はシーズン3へのつなぎの物語であり、本題はシーズン3に当たる部分で描かれるそうです。

 

そしてこのシーズン2で何が描かれたかといえば「愛」です。クロウリーとアジラフェルの6000年に渡る愛の物語。それだけを6話もかけて、おそらくはあのラストシーンのためだけに作ったんだろうと思います。まぁ確かに二人のラブラブキャッキャをあれだけたっぷり見せられてからのあんな形での決別は本当に心臓えぐられましたよ……。

個人的にはクロウリーとアジラフェルの関係は恋愛関係という小さい枠の中に収められるようなものではなく、もっと大きい、恋愛も友情もすべてをはらんだ愛、お互いにとにかく世界で一番愛している存在、そういう風に解釈しています。まぁだからそんなのを描こうと思ったら1シーズンフルで使うくらいのことは必要なんですよね。

 

 

シーズン3では決別した二人がどのように "Us" になるのかがキリスト再臨計画とともに描かれるんでしょうね。

 

クロウリーは一貫してアジラフェルのことを「天使」ではなく「アジラフェル」という個人として扱っていますが、アジラフェルはその辺がまだそれそれの属する世界に囚われてますよね。天国=善で地獄=悪って前提に囚われて、どこからどう見てもクロウリーが一番マトモで誰より優しいのに「クロウリーが堕天された悪魔である」という事実からなかなか逃れられずにいる。たぶん本心ではわかってるはずなのにね。中々クロウリーを「ただのクロウリー」としては認められないんですよね。

一方でアジラフェルはちゃんと天国の問題点も理解はしていて、「どうにかしなければ」と思っているんですよね。神にたてつくと(質問しただけでも)堕天されてしまうことはアジラフェルも分かっているはずなので、「二人で天国を変えよう」とクロウリーを誘うのも実は相当の覚悟が必要なことだったと思います。でも二人ならできると思った、それだけ自分たちのことを信じていたんですよね。

自分の属する組織を変えるというのは相当な困難を伴う問題です。クロウリーが言うように逃げた方が早い。でも逃げることで本当の幸せが手に入れられるかと言ったら、(特にこの場合は)そんなことはないですよね。ずっと逃げ続けなきゃいけないわけだから。

 

アジラフェルがクロウリーのことを「ただのクロウリー」と思えるくらい成長して、なおかつクロウリーが「一緒に逃げよう」以外の解決方法を見つけるくらい成長した時に二人は ”Us” になれるんでしょうね。

 

 

ちなみに個人的には恋愛感情があったとしても二人にはキスとかしてほしくないな~と思っていました。だって人外の存在だし、愛を確かめ合う行為はするにしても人間が行うようなものではないと思うからです。見た目は可愛カッコいいおっさん二人だけど生殖器とかついてないはずだからね(余談ですが天使の性器に関しては1999年の『ドグマ』という映画でアラン・リックマン様が御開帳してくださっていますので興味のある方はぜひ)!

 

でもまぁああいう形のキスならありかな……。あんなに悲しいキスがありますか? あれって起死回生の最後の一手であり、決別の、「これでダメなら本当にもうおしまい」という覚悟のキスですよね。

アジラフェル、キスの直後に "I lo" まで言いかけていったん飲み込んで "I forgive you" って言いなおしたけど、あそこで "I love you" って言ったらクロウリーは一緒に行ったのかなぁときょうも考えています。それとも言ってしまったらアジラフェルの方がクロウリーの胸に飛び込んでしまったんだろうか。

 

でもそれじゃあ上記のように "Us" にはなれないのよ。そうやって流されちゃダメなのよ。

 

ゲイマン先生はアマゾンがドラマを更新してくれなくても小説かラジオドラマ的なものにはすると言ってくれているので完結しないことはないはずです。でも小説だと翻訳が発売される保証はないので、やっぱりアマゾンさん、お願いします! 更新してください!