ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

X-FACTOR USA season2 鑑賞 / Cole's Extreme Mix Vol.5

※X-FACTOR USA シーズン2及び、『ハロルド・アンド・クマー ホワイトキャッスルへ行く』のネタバレがあります。
 
X-FACTOR USAのシーズン2を見ました。今んとこ『ザ・ヴォイス』、『アメリカン・アイドル』の中ではこれが一番面白いと思います。いか、感想ってゆうか、ちょっとした結構下らない話です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
まずはこちらをご覧ください。 
 
これは『ハロルド・アンド・クマー』シリーズの第一作、『ホワイトキャッスルへ行く』の中の名シーンです。
あんまりにもツイてない1日を過ごしたせいでついにブチ切れたハロルド(ジョン・チョー)が、いつも自分を苛めるコールって奴とその仲間のパンクスの車を強奪した直後の様子。
ここで『コールズ・エクストリーム・ミックスVol.5』と題されたカセットテープをクマー(カル・ペン)が発見します。
「なんだこれ?」とか言いながら再生してみたら、かかって来たのがニッキー・フレンチの『愛のかげり』だったもんだからハロルドとクマー、そろって爆笑。
最初は「だっせー!」とか言いながら聞いてるんですが、エイミー・グラントの『ベイビー・ベイビー』に差し掛かった辺りから雲行きが怪しくなり、ウィルソン・フィリップスの『ホールド・オン』でついに降参して、エアドラムしつつ二人で熱唱という、もう、ホントに選曲から何から完璧なシーンです。
 
なんでこのシーンのことを思い出したのかと言うと、X-FACTOR USAのシーズン2に、ドン・フィリップが出ているのを見てしまったからです。しかも結構な衝撃を残してくれたからです。
欧米のエンターテインメント界って本っ当にシビアなようで、どのオーディション番組を見ていても過去にレコードデビューしたことのある人がゴロゴロ出てきます(しかも結構売れていた人もいる)。『ザ・ヴォイス』セカンドシーズンのファイナリストなんて、みんな過去に1枚はアルバムを出してましたからね。
 
で、このドン・フィリップとゆう人も、2000年にデビュー・アルバムを出していて、当時日本で多少は騒がれていた人です。私もアルバム持ってました。
当時はバックストリート・ボーイズやイン・シンクブリトニー・スピアーズなどのジャイヴ・レコーズ系のポップアーティストが全盛で、日本でもかなり盛り上がっていたし、アルバムも結構な枚数を売ってました。今では信じられないことですが。で、けっこうたくさんの人がポンポンデビューしていたのです。しかも「日本でリリースして様子見してからアメリカで売ろうか」みたいな感じもあって、日本ではそれ系のポップスがとても手に入れやすい状況だったわけです。実際、90年代中ごろ~2000年くらいまでの洋楽アーティストって、調べてみると本国ではそんなにスターでもない人が結構います。
 
ドンくんはバックスやブリトニーとレーベルメイトだったこともあって、ブリちゃんとデュエットしてたりブライアンに曲を書いてもらったりと、結構鳴り物入りな感じで出て来たのです(と、ゆうように私の目には見えました。高校生の狭い視野ですが)。
結局アメリカで成功することはなく、私も彼のことはすっかり忘れ去っていました。
 
そんな彼が、ブリトニーが審査員を務める番組のオーディションを受けにきたわけです。で、満場一致で落ちたわけです。
いかんせん歌がイマイチだった。ジャッジから順番にノーを言い渡されたドンくんは、最後に残ったブリトニーにすがるような目を向けました。が、結局ブリトニーの口から出た答えもノーでした。昔のよしみで何かしてあげたい気はするけど、どうしてもイエスとは言えなかった時のブリトニーの顔は、見ているこっちも辛くなるものでした。
バックステージに戻ってからドンくんは泣き崩れたんですが、その時彼の口から出た言葉が凄かった。
 
「さっきのブリトニーの目を見たかい? 彼女を傷つけてしまった。ごめんよブリトニー、君を傷つけるつもりはなかったんだ。こんなつもりじゃなかったのに……」
 
というもので、自分を憐れんだり、ブリトニーを呪ったりするような言葉じゃなかったのです。
なんかすごく心が痛くなりました。傷つくのは自分だけだと思ってたけど、周りが見えなくなってただけで本当はそうじゃなかったって気づいてしまったら、確かにあんなふうに泣くしかなくなるかも。ブリトニーとデュエットしたことがキャリアの中で最高の思い出なんだ。って本番前のインタビューで語っていた分、余計にこの発言が思いっきりこっちの何かをエグって来る感じで、それを見た日は1日中何となくドンくんのことを考えてしまいました。
 
で、ドンくんのことを思い出したら当時のポップミュージックのこともどんどん思い出してきて、私なりのエクストリーム・ミックス・テープを作りたいなぁと思ってしまったのです。もしあの辺の曲に今出会ってたら、絶対に聞いてないしアルバムだって買うことはない。ダサいし、ガキっぽいし。でも15、6の頃に知って好きになったものってずっと特別なままで、今聞いてもやっぱりいいと思ってしまうんですよね。
早速エクストリーム・ミックス・テープを作ろうと思ってiTunesなんかを探してみたけど、私が欲しい曲は全く売ってなくてちょっと淋しくなりました。あれやこれやと色々探してみましたが、ワームホール並みに2000年前後の曲が抜けてます。それくらいの時代の物が一番売れないってこと?
 
 
ところでドンくんは、あんなすごい場面を見せてくれたとゆうのにシレっと8月末にアルバムを出してました。2010年の作品の再リリース盤のようですが、なんかちょっとガッカリしました。や、チャンスがつかめてよかったね、とは思うんだけどさ。なんなのこの騙された感は。