ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

【再投稿】ファットボーイ・スリム "Praise you" のPVにまつわる壮大なおふざけ

※一回不完全な状態で投稿してしまい、下書きに戻してから書き直せずにいました。大して文章増えてないけど。

 

 

まずはこのビデオをご覧ください。好きなんだよな~


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この曲を始めて聞いた、そしてこのビデオを初めて見たのは忘れもしない、1999年、中学3年生の時でした。当時はBS2(現在のBSプレミアム)でMTVのビデオ・ミュージック・アウォード(以下VMA)を放送してくれていて、私はそれを見ていたのです。

当時うちにインターネット環境はなく、海外の音楽の情報を手に入れられるものは非常に貴重で、私はこの放送の録画を何回も何回も見ました(単純にこの授賞式が面白かったというのもあります)。

 

このビデオはいくつもの賞にノミネートされていたので放送中に何度も目にしました。

こんな感じの ↓ ヘンテコパフォーマンスもしてました。

 


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インパクトのあるパフォーマンス。なんか、上手いのか、下手なのか、所謂コンテンポラリーダンスなのか? 分かんないけどなんかスゲェ! と思って見てました。何なのこの髭でメガネのヒョロヒョロのおっさん!

 

で、見事に「ブレイクスルー・ビデオ賞」を受賞します。

ビデオの賞なのでアーティストだけじゃなく監督も受賞するんですが、この時監督は「トランス・コミュニティ・ダンス・グループ、リチャード・カフェイ(NHKの字幕ではこうなってました)、ローマン・コッポラ」と言われていました。ローマン・コッポラなんて初めて聞いたけど名前からコッポラ家の人なのは明白だし(後にフランシス・フォード・コッポラの息子だと知りました)、この人が監督か~と思っていました。

以下が受賞した時のスピーチの様子です。

スーツのメガネが監督のローマン・コッポラ、女性はプレゼンターのジャニーン・ガラファロ、野球帽もプレゼンター(ですが名前が分かりません)、オタクっぽい髭でメガネのヒョロヒョロのおっさんがリチャード・カフェイ、坊主のTシャツのおっさんがファットボーイ・スリムことノーマン・クックです。

 


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これ、受賞者の名前が読み上げられて壇上に上がるときにカメラがマドンナを抜くんですがスゲェ顔で拍手しててマジでウケる。

そしておっさんは結構長いスピーチをします。「この賞はトランス・コミュニティのみんなに!」と、自分のダンスチームを讃えています。変な声のおっさんだな~と思っていました。この人たち、こんな変なダンスでダンサーやってんだ、すげぇな~って。

 

 

思っていたのが数年後、カラクリを知ることになります。

 

きっかけは2004年にこれが発売されたことでした。

スパイク・ジョーンズのミュージックビデオ作品集。

この頃には日本でも映画好きの間ではスパイク・ジョーンズは有名人でした(『マルコヴィッチの穴』が日本で公開されたのは2000年です)。

 

でさ、これを観てたら出てきたんですよね!

 

ファットボーイ・スリムの "Praise you" のビデオが!

 

スパイク・ジョーンズの作品として!

 

あれ? ローマン・コッポラのビデオじゃないの?

 

と思ったよね。

 

?????

 

と思ってたら、なんか特典映像にファットボーイ・スリムが出てきたよね!

 

そんで泡風呂でシャンパン飲みながら話し始めたよね!

 

「LAでゲリラダンスをやってるリチャード・コーフェイ(こっちの字幕ではカフェイではなくこう表記されていました)変なおっさんを見つけて、あんまりにも変だったからビデオに出ないかスカウトした」

 

で、そこからどんどんトランス・コミュニティ・ダンス・グループのオーディションの様子なんかが紹介されるわけですよ。素人さんいっぱい集めて楽しもうぜイェイ! みたいな。でも俺たちは真剣にやってるんだぜイェイ! みたいな。

 

とかなんとかそんなようなことを言ってたよね。そんでそのうちリチャード・カフェイなんて人間は存在しなくて、実はあれはスパイク・ジョーンズその人だったってことが明かされました。

 

この辺の種明かし、私は5年がかりで知ることになったんですが、アメリカでは当時から知れてることだったのかな。と、思うと、マドンナのあの表情も納得がいくというかね(笑)。

 

ちなみに「リチャード・カフェイ」のことを私はおっさんだなぁと思っていましたがスパイク・ジョーンズは当時まだ30歳ですね。若者やんけ!