ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

奨学金破産の根本的な問題

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個人的に一番の問題は

1)企業の新卒信奉が原因と思われる、大卒信奉
2)1の理由のせいで、今までなら高卒だった人たちも「とにかく大学へ行かなくちゃ」という風潮が出来上がっている
3)さらに1の理由のせいで、社会人になってから学び直す、ということがやりづらい
4)結果、「大学であればどこでもいいから進学しなければ」と考える人が増えた
5)さらにその結果、成績度外視の私立大学(そして学費は高い)がたくさんできるようになった

という社会構造にあると思います。


奨学金は誰でも借りられるのが問題、という意見がありますが、一応審査基準と言うのはあります。

第一種奨学金(無利子奨学金)、第二種奨学金(有利子奨学金)で一番違うのは家計基準でしょう。

第一種奨学金(無利子奨学金)はかなり困窮度の高い学生でないと借りられません。

また、あまりに学業成績がよろしくない場合でも借りられません。

毎年適格認定と言う、「この学生に貸与を続けても大丈夫か」という審査をします。
成績不振であれば奨学金は廃止になります。
家計状況が改善しても廃止になりますし、一応年間の収支を自分で作ってもらって年にどれくらい収入があってどれくらいの支出があるのか、を把握しています。

ここで収入の方が多い場合は、学生に奨学金の借りすぎを指摘し、減額を薦めたりします。



個人的に一番大きな問題は、今の日本の大卒信奉、新卒信奉だと思います。

例えば、オーストラリアは大学進学率が96%で世界第一位なのですが、大学に入学するときの平均年齢はなんと26歳です。

「高校卒業してからいったん社会に出て学費を稼ぎ、余裕が出てから大学へ行く」
「新卒じゃなくても就職の間口が開かれている」

という状況になれば、日本でも結果はかなり違うのではないかと思います。
自分もそうでしたが、学生時代に社会がどういうものか全く知らずに過ごしてしまったために、社会に出てからめっちゃくちゃびっくりするようなことがいっぱい起こりました。プラス、将来の自分にどんな勉強が必要なのか、分かっている人はいいですが(医学部や教育学部、法学部など)、社会に出てから分かることは山のようにあります。私も今、大学に行けるのであればもっと違う形で勉強できたなぁと思うことがたくさんあります。


あと、欧米の奨学金は給付が普通で……という書込みも多いですが、たぶんめっちゃくちゃ優秀な人じゃないとそんな奨学金はもらえません。アメリカの映画やドラマを観ていると、学生ローンの返済が苦しくて……という描写が結構出てきます。なので名称こそ違えど日本とアメリカでその辺の事情に大きな違いはないはずです。

この記事書くのに世界各国の大学進学率を調べたのですが、日本の大学進学率があまり高くないことに驚きました。
オーストラリア以外ではアイスランドも93%とかなりの高水準で、ポルトガルポーランドニュージーランドが80%以上、スロベニアノルウェースウェーデンアメリカ、韓国が70%以上。
(ソースはこちら(文部科学省のHP内です)→http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2013/04/17/1333454_11.pdf  ※ただ、このデータには留学生の数も含まれているとのことです。が、留学生にとって魅力的な大学でがあるという点でも見習うべきところはあるように思う)

所謂経済大国で70%以上の水準なのがアメリカ合衆国だけというのがなかなか興味深いですね。ただ、アメリカのデータにのみ短大への進学者数も含まれているそうです(じゃあこのデータ意味ないんじゃない? と思いますが)。

経済大国以外で大学進学率が高い国は、恐らくは国公立大学が充実している(=国が教育に力を入れている)ということなのでしょう。各国の奨学金事情をじっくりと調べてみないと分かりませんしね。

私ももっとこの仕組みについて勉強しないとなぁと思いました。