ビルボート至上、最も長くナンバー1の座にいたのはマライア・キャリーとボーイズⅡメン “One sweet day” で、その期間、なんと16週間。今年に入ってルイス・フォンシ、ダディ・ヤンキー、ジャスティン・ビーバーの “Despasito” に並ばれましたが、それまでの22年間、誰もこの記録には追いつけませんでした。
80年代後半~90年代後半くらいまでのニュージャック・スウィング・R&Bバラード・コーラスグループ全盛期には多くのグループが活躍していました。ガイとか、ニュー・エディションとか、テイク・6とか、ネクストとか、ジョディシィとか、そこから派生してK-Ci & Jojoとか。トップに君臨していたのは間違いなくボーイズⅡメン。
当時、この手のバラードはアメリカのみならず日本でももちろん人気で、ボーイズⅡメンのバラード・コレクションが出たりもしました。
そのバラード・コレクションがリリースされた頃に毎週観ていた音楽番組で、『ミュージック・ファクトリー』というものがありました。WOWOWの無料放送枠でやっていた30分番組で、ナレーターの木村匡也(きょうや)という人がVJをしていました。木村匡也さんは『めちゃイケ』や『中井正広の身になる図書館』などのナレーションをしている人なので、絶対に声は聞いたことがあると思います。
で、その番組で匡也さんがこのバラード・コレクションについて
「ドライブデート、夜のベイブリッジでこのアルバムかけて落とせなかったら、諦めんさいアンタ」
と紹介していたんですよね。とても時代を感じます。今、デートのここぞというときにこういう音楽かけたら逆効果になりそう。たぶんですが、笑いが巻き起こるんじゃないでしょうか。
まだ時代に余裕があったというのか、バブル崩壊後ではありましたが、今ではない謎のラグジュアリー感のある音楽が流行っていた時代の話です。トミー・モットーラ以前のマライア・キャリーもこの辺の層に所属してました。
そして時代にうまく乗り音楽性をシフトしていったマライア様はマライア様のままで、シフトチェンジできなかったボーイズⅡメンはどこかに行ってしまいました……。
1. Please don’t go
ソングライティングはメンバーのネイサンが、プロデュースはダラス・オースティンが手掛けた曲。全米最高49位。あまり売れなかったけど大好きな歌です。
甘いバラードではなく、「いかないで」という辛い気持ちを歌っています。月の出てる夜に聞きたい歌です。
2. Four seasons of loneliness
ジャム・アンド・ルイスのプロデュース作で、1997年に全米最高1位。3枚目のアルバム、”Evolution” からのファースト・シングルです。初めて聞いたボーイズⅡメンの曲です。別れてしまった、でも一番愛していた彼女との思い出が四季の中に刻まれているという、けっこうハードな未練ソング。歌詞はねっとりしてますが、音はねっとりしてないので「切ない歌~」とキャッキャ言いながら聞いてられます。
3. Pass you by
作・プロデュース共にメンバーのショーンが担当。2000年発表の4枚目のアルバム、”Nathan, Michael, Shawn, Wanya” からのファースト・シングル。シングルとしてはチャート・インすらしませんでした。好きなんだけどなぁ。時代がR&B全盛期だったので、いつもの甘いパワー・バラードではなかったんですが、なんかうまく方向転換できませんでしたね。好きなんだけどなぁ。
4. Water runs dry
ベイビー・フェイス作の曲で1995年に全米最高2位を記録。”Water” ってたぶん ”Love” の意だと思うんですが、きれいな表現ですね。愛が乾いてしまった、よりも水が乾いてしまった、の方がいいですよね。悲しさ倍増です。ベイビー・フェイスはこういう曲を書かせたらうまいですね。白い砂漠で撮影されたビデオも印象的です。2枚目のアルバム、”供 より。
5. Thank you
ダラス・オースティンとボーイズⅡメンの共作で、最高位21位です。デビュー曲の "Motownphilly" と同じくニュー・ジャック・スウィング系の曲。壮大なバラードは雰囲気を出すためには最高ですが、ずっと聞いてると飽きてくるというか、重くなってきます(少なくとも私は)。
ちょっと意外なところで、グー・グー・ドールズの “Iris” のカバーなどもしています。以上、ボーイズⅡメンの好きなな曲トップ5でした!