ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

ネオン・ネオン Neon Neon / PRAXIS MAKES PERFECT 感想

ウェールズのバンド、スーパー・ファーリー・アニマルズのフロントマンのグリフ・リース。アメリカ在住のヒップホップアーティスト、ブーム・ビップ。この一見全く接点のない二人がタッグを組んだバンド、ネオン・ネオン。エレクトロ・ヒップホップだったり、エレクトロ・ポップだったり、エレクトロを基調としてやりたい放題な感じです。ファーストはわりとヒップホップ色が強くて、グリフがヒップホップやってるぜ! フー! とか思ってました。

2008年に "STAINLESS STYLE" というアルバムを発表して、フジロックフェスティバルにも来てました。この一回きりなのかな、と思っていたら、セカンドが出てました! タイトルは、"PRAXIS MAKES PERFECT"。

去年の4月にリリースされた作品です。私としたことが、このアルバムの存在に気づいたのがリリースからもうすぐ一年たとうとしていた頃でした。その頃はすでに日本の販売元に在庫がなかったらしく、HMVに注文して3ヶ月経ってから、「ゴメンなかったわ!」ってメールが届き、しょうがないからアマゾンさんにお願いした次第です。


やーまさかね、タキシード着て歌ってるグリフを思い浮かべる日が来るとは思いませんでした。それくらい、大人っぽいサウンドなんですよ! 特に二曲目の "THE JAGUAR" を聞いたときに強くそう思いました。いいスーツじゃなくって、ビロード生地でブルーの古くさい安っぽいやつ。それに赤い蝶ネクタイ着けて、場末のバーで歌ってる姿がなぜか思い浮かびました。
サウンド的にはとても今風。てゆうか、80……70年代かな、の雰囲気と、現代の要素がすごく上手く絡み合ってる感じです。今回はヒップホップ要素は薄いです。ラッパーも呼んできてないし。その代わり女性ボーカリストを2名ほど呼んでるみたいです。一人は前作でも一緒に歌ったケイト・ル・ボンさん。そしてもう一人はなんと女優のアーシア・アルジェントのようです。どこにいたのかよくわかんないんですが、もっとよく聞いてみます!

グリフ・リースのすごいところは、スーパー・ファーリー・アニマルズのときと、ネオン・ネオンのときと、ソロ活動のときと、その他のときとで、同じであることが全くないところです。
当たり前と言えば当たり前なんですが、ホントに、世界がかすりもしない。たぶん、グリフがワンマンでやってるんじゃなくて、ちゃんと他のメンバーと協力して作ってるからこそそうなるんだろうな、と思います。ファーリーズのときも、結構グリフが作詞作曲してるんですけどね。それでもファーリーズにはものすごく独特の世界があって、知らん曲でも聞けば「あ、これスーパー・ファーリー・アニマルズやな」って分かるくらい。でもソロとか聞いててもファーリーズの空気はホントに、一ミリもない。意外にもソロのときが一番クセがありません。ファーリーズのときが一番の曲者ですね(ブラジルの楽器屋さんとコラボしてたのも大概でしたが!)。5人で曲を作った結果があの変態サウンドなんやろなぁ、と思うと、早くファーリーズ名義の新しいアルバムも出してほしいです。

閑話休題。ネオン・ネオンが一番チャートフレンドリーな感じです。イギリスでも、アメリカでも、売ろうと思えばそこそこ売れると思います。売ろうと思えば。社会主義とかについて歌わなければ。愛とか恋とか歌っとけば。や、グリフはいつも広義の愛を歌ってはいるんですけど、それって社会一般が欲しがってる愛の歌じゃないよねってゆう。本当に必要な愛を歌ってはいるんですけどね~
今回のアルバムのコンセプトは社会主義なんだそうです。これは確かファーリーズのときのアルバムのインタビューでグリフが言ってたんですけど、ウェールズってイギリスのなかでもわりと共産党が強い地域なんだそうです。で、その先に何て言ってたのか全然覚えてないんですけど、確か「共産主義の考え方のいい部分は取り入れたらええやん」的な話だったと思います。

にしてもさ、そんなこと歌ってたら売れねーよ!

私は英語分かんないからさ、胸キュン系エレクトロとして聞いてられるけど、英語圏の人にはね……。意外と「訛りすぎててワケわかんない」ってこともないしさ……。

あーでも、ギュンと来るアルバムです。