ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

裏切りのサーカス二度目の鑑賞感想 / ザ・70年代なモミアゲのベネディクト・カンバーバッチ

思った通り原作の流れをすっかり忘れていたので、1回目よりもずっと楽しく観ることができました。何が起こったのかは理解しているけど、出来事の順序や細部をすっかり忘れてしまっているという、この映画を楽しむには一番と思われるコンディションだったんじゃないかと思います。

とりあえず前最初に観た時と一緒で、上手くまとめてあるなぁと思いました。一回観ただけで理解するのが難しいとはいえ、ちゃんと事件を解決するための鍵は作品中に全てちりばめてあるし(結構話が複雑な構造になっているので、脚本に置き換えるのはかな~り難しかったんじゃないかと思います)、役者さんもイギリスの売れっ子を総動員しているだけあって皆さん上手い。多分演出もいいんだと思います。

そんでもやっぱラストは駆け足だったなぁ。ちょっと物足りない。
なんでこんな腹八分目感があるのかってゆうと、要は謎解きショウに当たるクライマックス的な部分がないからなんですよね。一本一本、ズルリズルリと紐が手繰りよせられて行く感じ。
映画としては「セリフで多くは語らない」ってゆうのがスマートだったりするんですけど、最初にバーンと「裏切り者がいるかもしれないからそいつを探しなさい」ってお題が出されてる以上、ヒントを回収して見事スッキリ一気に解決! ってゆうクライマックスがね、必要なんじゃないかなと思うのです。観る方もそれを期待しちゃうし。そんでそこが物凄くアッサリと描かれるものだからね……。非常にヨーロッパ映画的。なんだけど、原作ではもうちょっときっちりラストの辺りが描かれてたので、原作を読んでこの映画に臨んだ人は、余計に物足りなさを感じるかもしれません。

あとねー、ジム・プリドーとビル・ローチ少年のくだり。ローチ少年の扱いをあんな小さなものにしてしまうんなら、いっそ出さないで別のキャラクターやエピソードに時間を割いた方が良かったのでは? と思いました。ローチ少年は後々のジムの為にも大切なキャラクターな訳で、登場させるならさせるでもっときっちり描いてほしかったな~

と、まぁ観てる側の勝手な言い分なんですけどもね~。同じキャスト、同じ脚本、同じ監督で、上映時間を三時間にできれば良かったのにね、と重ね重ね思います。全部時間の制約のせいだもの。
でもホント、今回の鑑賞はとても楽しめました。小説も2回目の方が楽しめたし(これは訳文と私の相性のせいでしたが)、映画も2回目の方が良かった。先に起こることを知っている方が楽しめるとゆう不思議な作品です。


そしてこの映画のおベネはかわいこちゃんですよ! なぜかゲイって設定に変わってますけど……(余談ですがベネディクト・カンバーバッチが扮しているピーター・ギラムというキャラクター、原作では女の子大好きっ子で、次回作の『スクールボーイ閣下』ではモリーという名の女の子を追いかけ回します。偶然とはいえ、思わずニヤリとしてしまいましたよ)。ちょっと青い感じで、シャーロックんときとは全くの別人。あの時代の変な髪型もよくお似合いです。