ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

『ウィズネイルと僕』ネタバレ感想

ネタバレと言っても大したことは書けませんが……。

日本では長らく「幻のカルト・ムービー」だったこの映画も、昨年リバイバル上映され、ついにソフト化されたので、ようやく鑑賞することが出来ました。

































せっつない映画だねぇコレ!
主人公2人組と同世代で、私も同じく「社会人が持っているべきものを何一つ持っていない」ような状態なので、諸々身につまされました。

「と僕」と「ウィズネイル」は二人共失業中の俳優で、ルームシェアをしています。

この「ウィズネイル」がかなりイカれたキャラ……と見せかけて実はかなりマトモな、でも無責任な小心者で、「と僕」はいつもウィズネイルに振り回されています。


って感じなんですが、「と僕」は常識人っぽくて、一見ウィズネイルに振り回されているようなんですが、コイツも意外とタチが悪いんですよね。
そもそもお金もないのに郊外に旅行に行こうとか言いだしたのはコイツだし。
「おじさんのコテージ借りてよ~」とか言ったのもコイツだし。
ヘラヘラ笑いながら「僕は下で寝ますから!」なんて2回もおじさんに言っちゃう辺り、天然な分救いようがない。
せっかくおじさんを傷つけない嘘をついて上手くいったのに、あとで自分で台無しにするし(結果のおじさんの心の傷はいかばかりか。いい人なのに)。

でさー、ウィズネイルのキャラも「と僕」のキャラもさ、グサグサ刺さって来るんですよ。
ウィズネイルのエキセントリックっぽい言動は、生きているのが不安で不安でしかたないのを隠してるだけに見えるし。
「と僕」が無意識に事態を引っかき回すのって、自分もやっちゃってる気がするし。

ウィズネイル(「と僕」)がおじさんにした仕打ちは許されるものではないと思います。
おじさんって圧倒的に弱い立場の人間ですから。
人の気持ちをあんな風に利用すると、いつか自分に跳ね返ってきそうです。
ウィズネイルが終始無責任な態度なのは、自分が酷いことをしたと分かっているからこそなんでしょうね。自分がやったことの数々をマトモに受け止めてたら耐えらんないから。

でも、そんな無責任かつ非道なウィズネイルなんですが、「と僕」がチャンスをつかんだ時に、それを邪魔するようなことは決してしないんですよね。

だから、性根が腐っている訳でもなくって。

ただただ不安で、それを隠すためのハチャメチャキャラ……。

切なすぎるヨ!