ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

ピエール瀧が売れっ子じゃなかったら


タイトルが「ピエール瀧さんが売れっ子じゃなければ皆さんは公開中止に反対しますか?」

なんですがね。

非常に面白いのだけれど、「売れない俳優やミュージシャンであれば麻薬で逮捕されてもそもそもマスコミに取り上げられることもなく、取り上げられたとしても扱いは小さく、人々も特に関心を示さず、つまるところ映画がお蔵入りになったりCDが回収されたりすることもない」のだよね。

まぁやっぱりある種の見せしめだよね。と思ってしまう。

あとね、「薬物依存は病気だから、きちんと治療しないといけないんですよ」って意見に対して「病気を言い訳にするな」とか「そもそも違法薬物に手を出したのが悪い」と反論している意見がちらほらあるのだけれど、これ、全く別の問題だから一緒くたに考えちゃダメなんですよね。

「違法薬物に手を出してはいけない」

というのはそれはもう大前提で当たり前のことなんだけど、だからと言って「薬物依存の治療をしなくてもいい」ということにはなりませんからね。治療しなきゃ、例えば刑務所に入ってその間薬物を断てても出所したら結局薬物の世界へ逆戻りですから。
意志の力だけでどうにかなる問題ではないですからね。アルコールだってニコチンだって同じでしょう? 「やめよう」と思って簡単にやめられる人はそうそういないし、一時期やめていても何らかのきっかけでまた始めてしまう。結構たくさんの人が病院へ行ってますよね。

ニコチンはともかく、アルコール依存は人間が壊れるし、家族や友人も疲弊するし、そういう意味ではかなりドラッグに近いものがあると思うんですが、置き換えて考えられませんかね。

「依存症患者は一生依存症。本人だけじゃなく周りの人間も地獄行き。」

そういう世の中にしたいんですか?

ってね。思っちゃうよね!

だからね、「薬物は違法なんだからダメ」っていうことと「薬物依存は治療が必要」ということは、絶対に切り分けて考えなきゃいけない。

誤解のないように言っておくと、実は「依存症患者は一生依存症」というのは間違ってはいないのです。一度依存症になって回復した人は時々襲ってくる「やりたい」という気持ちをそれこそ「意志の力」で(もちろん自助グループの助けも借りながら)頑張って抑え続けている人なので。だからこそ、一度確かに道を踏み外したかも知れないけど、頑張って依存症と戦ってる人に対しては攻撃してはいけないと思うんですよね。

そりゃあもちろん、みんながクリーンでいる世界がいいわけですから。つついて彼らがあちらへ戻ることを助長しちゃならんし、それならやっぱり「一度道を踏み外してもやり直せる世界」であるほうがいいんじゃないかと、個人的には思います。これは薬物に限ったことではないですけどもね。

でもみんな厳しいよな~