さて、ジェニファー・ロペスは性格がものすごく悪くワガママであることでも知られていますが、その一端を垣間見ることができるのが、”I’m real” のオリジナル・バージョン(アルバム “J-Lo” に収録されているバージョン)での一件です。
この曲のイントロにはイエロー・マジック・オーケストラの “Firecracker” という曲がサンプリングされていますが、そもそもこの曲を自身の楽曲にサンプリングしたがっていたのはマライア・キャリーで、”Loverboy” に使用しようとしていました。が、その噂を聞きつけたジェニファーがマライアよりも先にレコーディングしてしまったためマライアはこの曲を使えなくなり、ジェニファー側に文句をつけたらしいですが一蹴されたという……。
デビュー・アルバムの発表直後からイエロー・マジック・オーケストラは海外でも高く評価され、”Behind the mask” という曲はかのマイケル・ジャクソンの ”Thriller” に収録されかけた(結局契約に関するトラブルで収録はされず、マイケルの死後に “Michael” に収録されました)りもしました。
この時代にニューウェーブというジャンルがどのように受け入れられていたのかは知りませんが、私には「(当時から見た)未来の音楽」だったのかなぁという風に感じます。
1960年代~1980年代半ばくらいの日本の小説を読んでいると、いつも不思議な気分になります。両親から聞いているよりもずっと今と変わらない、というか。
結構みんな不純異性交遊してるし、夜遊びしてるし、現代とあんまり変わんないじゃん、と思いながら電話を掛けたりするといきなり交換手という未知の存在が現れて、「やっぱりここは知らない世界だ」となるわけです。
また、この世界の人々が未来について語っているのを見ると、現在私がいる世界とのずれを感じたりします(そりゃ当たり前なんですが)。それがとても「微妙な」ズレだったり、「かなり形は違うけど確かにそんな状態になってるな」と感じたりするとまたどうしようもなく胸に来ます。悲しいかな、私にはこの感じを表現できる文才はありません(←たぶんそれを描いたのが『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』なんでしょうね)。
1. Cue
この曲はウルトラヴォックスから強い影響を受けていて、あまりに影響が強すぎて坂本隆一さんはこの曲のレコーディングをサボタージュして、一切制作には関わっていないそうです。もちろん演奏パートもなし。
この曲での高橋幸宏さんの歌声は、ものすごくブライアン・フェリーに影響を受けているように感じます。声質も似てるし、サディスティック・ミカ・バンドのメンバーとしてロキシー・ミュージックのツアーに参加していたのだからありえないことではないと思います。
とても低くて素敵な声をされている上にあの容姿ですから、モテモテでしょうね。
2. 君に、胸キュン。
CMにも使用され、かなりメジャーな曲ではないでしょうか。オリコン最高2位を記録しています。YMO的には1位を目指して作ったそうですが、皮肉にも細野晴臣が松田聖子に提供した『天国のキッス』に阻まれてしまいました。
キャッチーなメロディとちょっとバカっぽい(たぶん敢えて)フレーズが爽やかなメロディと抑え気味のテクノ風味がチャート・フレンドリーですね。
3. 以心電信
1983年のアルバム『サーヴィス』からのシングルです。オリコン最高23位を記録しました。この『サーヴィス』というアルバム、一曲終わるごとに謎の寸劇が収録されています。この時代であっても前時代的だったであろう寸劇とテクノが混在している不思議なアルバムです。でも曲パートは全部すごく良いのですよ。その中でもやっぱりシングルカットされたこちらは素敵な一曲。
4. 体操
痙攣の運動ってなんだよ。この曲を聴いてると、電気グルーヴ(っていうか石野卓球)がめちゃくちゃYMOの影響を受けているというのがよくわかりますね。確か卓球さんは家でYMO禁止令が出るくらい聞きまくっていたはずです。こちらは1981年のアルバム『テクノデリック』からのシングルです。ちょっとシュール過ぎたのか、オリコンではチャート・インしていません。テクノとニューウェーブをミックスしたような曲です。
5. 東風
なんでしょうね。こう、「西洋社会が思う東洋っぽさ」をパロッたような曲です。ブライアン・フェリーの "Tokyo Joe" みたいな、なんちゃってアジアン・ソングのパロディ。
1978年のデビュー・アルバム、『イエロー・マジック・オーケストラ』に収録されています。