ちょっと節穴 / A little bit blind

ドラマや映画、音楽について書いてます。時々本も。A blog about dramas, movies, and music. Sometimes books.

私的『野木亜紀子トップ5』

TBSで金曜日の夜10時から放送中のドラマ『MIU404』、ええ! めっちゃくちゃええ!

元々『SHERLOCK』とかのバディものが大好物なので野木亜紀子綾野剛星野源でバディものって聞いただけで垂涎だったわけですが!
期待を裏切らないバディ感! 面白さ!
今まで放送された回、全部何回も見返してるよね!
KYの破天荒と見せかけて意外とマトモな綾野伊吹とマトモと見せかけて実は破滅型の星野志摩!
こういう組み合わせ最高ね! ジョンが実はヤバい人なのと同じだよね!
綾野剛さんは『空飛ぶ広報室』以来の私的当たり役で、星野源さんは今まで観てきた中では志摩さんが一番好きです。いい人っぽくない(もちろん悪い人ではない)役最高。
いつも不思議系可愛い女子の麻生久美子さんがパンツスーツでカッコいい上司なのもええ! 野木さんの描く女性って女性的な柔らかさを持った上で芯が強くてカッコいい。つくづく女が憧れる女を描く人だなぁと思います。
キャリア組の若き警部補・九重くんがこの先どう成長していくのかも楽しみです。ピタゴラ装置の前で志摩さんに言われたことを理解できる日が来るといいね。そのためには一回絶望を経験しないと無理そうだけど。


そんなこんなでもう私のなかで野木亜紀子熱がぐんぐん上昇中なので、野木亜紀子トップ5を行こうと思います! ちなみに野木亜紀子熱はいつでもまぁまぁ高いよ!



5位『獣になれない私たち』(2018年)
なぜか評判悪かったけど私は好きでした。
年相応の大人の女性の役をやっている新垣結衣さんがとても良かった。できれば私はこういう「普通の人」を見たい。ドラマでも映画でも。よくも悪くも新垣結衣さんはアイドル的な存在で綺麗綺麗な役が多かったように思いますけど、あっちこっちにぶつかって切り傷擦り傷作りながら何とか生きてる普通の女性をやってる新垣さんはとても魅力的でした。で、みんなのガッキーにそういうキャラを当てるところがさすがの野木さんなんですよ!
あんまり好きな俳優さんではなかった松田龍平さんも明るくも暗くもない(腹にイチモツ抱えてるけど)普通の男性をとても普通に、肩の力が抜けた感じで演じてて、この人……好きだな……。と思いました。欲を言うなら彼のキャラは背負ってるものが重すぎアンド黒すぎないかね。
菊地凛子さんはただただ可愛らしく、まぁ男も女も恋するよねって感じだし。
ダメダメ元カップルの田中圭さんと黒木華さんも良かった。
特に黒木華さんも普段はどちらかと言えば新垣さんと同じ感じで素直で優しいいい子の役が多いように思いますけど、ここでは悪役に徹してましたね。その憎たらしい感じが話が進むごとに解けていくのがまた良かったなぁ。


4位『重版出来!』(2016年)
個人的には安田顕さん回とムロさん回が神でした。
ただ、4年前にリアルタイムで一回観ただけ(神回は録画を残してありますが)なので、好きなんだけど記憶は曖昧です。
漫画雑誌の編集部を舞台に新人編集部員の小熊ちゃんが成長していく(でも元々とても良くできる子)お話です。
漫画がどんな風に描かれるのか、作り上げられていくのか、編集さんのお仕事がどんなものなのかが分かって、内幕ものとしてとても面白かったです。
作品が当たるか当たらないかを見極める目とか新しいアイデアとかを持った上で自分の担当している作家が力を最大限に出せるようにサポートしなきゃいけなくて、さらに営業部とも上手く調整出来なきゃダメって、スーパーマンしか無理やんというようなハードワーク。でもだからこそ作品が完成したときは嬉しいだろうし、やりがいもあるんだろうし、きつそうな仕事なのに「憧れるなぁ」と思わせてくれるお話でした。


3位『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)
元々原作がものすごく好きで、このブログでもドラマ化のずっと前に妄想キャスティングしたりもしてました。
みくりちゃんと百合ちゃんの性格(というかキャラ)が原作と全然違うんですけど、これはこれですごく良かった。
原作を本当に上手く再構築してあって、原作への敬意を感じると同時に場合によってはドラマ版の方がいいのではと思う描写も。原作ファンとして、原作を忠実に再現しているにも関わらず新しい解釈(というか私では見れなかった視点から)で作られていたことが感動でした。知ってる話のはずなのに別の話みたいで二度美味しい、みたいな。
原作もののドラマでここまで満足できたのは始めてかも。


2位『空飛ぶ広報室』(2013年)
ガッキー主演で原作は有川浩さんの同名小説です。原作は読んだんだけど何年も前のことだからドラマを観たときにはすっかり内容を忘れておりました。
というのもリアルタイムでは見てなくて、去年赤子が新生児だった頃に授乳しながら(産後の不安定もあったと思うけど)笑ったりドキドキしたり時に号泣したりしながらアマゾンプライムで一気見しました。
それから何回見返したか分からんくらい見てます。
報道記者だった新垣結衣さん演じる稲葉リカ(通称稲ぴょん by 詐欺師鷺坂)がトラブルを起こして情報番組のディレクターという畑違いの部署に飛ばされ、航空自衛隊の空幕広報室に密着取材を続けるうちにどんどん成長していくわけですが! 最初はホントに鼻持ちならん女だった稲ぴょんが変わっていく様を丁寧に描いてありました。
稲ぴょんが変わるきっかけになったのが空幕広報室で稲ぴょんの担当をしていた綾野剛さん演じる空井くん。彼もまた夢破れて失意のなかで働いていたのです(ただ空井くんの夢の破れ方、あんまりにも酷すぎてよく立ち直れたよね……と思います。いやフィクションなんだけどさぁ、ねぇ?)。
その空井くんが! 可愛すぎ! 綾野剛さんの中では一番好きです(でも今の綾野さんならやっぱり空井くんキャラではなくてもう伊吹さんだよね。伊吹さんも最高)。
そして空井くんに稲ぴょんの対応をさせたのは柴田恭兵さん演じる広報室長の詐欺師鷺坂。鷺坂室長がこれまた最高の上司で。あんな上司いたら好きになっちゃいそうだけど、そうならないように上手く線引きしてくれそうなホントに最高の上司。
稲ぴょんの上司の阿久津さん(生瀬勝久さん)も言葉はきついけど部下のことをよく見ているものすごくいい上司で。いい意味でとても普通の人ってところも良かった。
原作があり、キャラクターによっては実在のモデルもいるお話なのである意味当然なのかも知れませんが、とにかく登場人物が魅力的。
繋がりかけてはほどけてしまう稲ぴょんと空井くんの関係が観ていて毎回モゾモゾしたし、お話を通して「大切な人に想いを伝える」ことの大切さが描かれていました。

ところでMIU404に広報班長がチラッと出てる!


1位『コタキ兄弟と四苦八苦』(2020年)
これは! 野木亜紀子作品に限らず、日本のドラマに限らず、今まで見てきた海外ドラマも含めた全ドラマの中でも5本の指に入るくらい好きなドラマです。
最初の何話かは「そんなにはまる感じではないかな~」って感じだったんですが、第4話で「今回良かったなと感じ」第6話に「今回すごく良かったな~」って感じてから第8話(さっちゃん回)が「神回!」で、10話から12話まで全部神回という凄まじさよ。しかも8話以降の神を感じるためにはそれまでの回を全て観ておく必要がやっぱりあるのですよ。1~7を積み重ねた上での満を持しての8話以降なのですよ。
無職の中年兄弟がひょんなことから『レンタル親父』というサービスを始めて色々起こる話です。主な舞台となるのが『喫茶シャバダバ』という昭和ムード満載の喫茶店で、そこの看板娘のさっちゃんにお兄ちゃんが恋をして……!? みたいな感じで話が始まります。そこから意外な方向に話が進みます。
「四苦八苦」がテーマのドラマなので人間が生きていく上での普遍的な苦しみとか辛さとかが描かれています。その「普遍的なもの」に現代だからこそ声を出して扱えるようになった「苦しみ」を絡めてあって、それが全く押し付けがましくない。
第11話で一路さんがさっちゃんに言った

「俺は、君が、君たちが、君たちとしていきていくことを祝福する!」

って台詞は私も子供に言ってあげたいなぁ。だから好きに生きていいんだよって。相手への最高の愛の言葉。野木さんが書いてきたなかで一番好きな台詞です。



あとがきっていうか何て言うか。
1位から4位まではほぼ悩まなかったんですが、5位はすごく悩みました。『獣になれない私たち』、『アンナチュラル』、『掟上今日子の備忘録』、『フェイクニュース』で。まず『フェイクニュース』だけスペシャルドラマなので泣く泣く外しました。『アンナチュラル』は当時色々バタバタしてて、存在に気づいたのが第6話とかだったので公平に判断できんということでこちらも除外(でも見始めてからめちゃくちゃハマった)。『掟上今日子の備忘録』はすっごく面白かったけど『アンナチュラル』ほどハマらなかったし、ならばこちらを残すのもなしなのでは……? ということで『獣になれない私たち』となりました。
ホント、放送当時理解できないくらい評判悪かったですけど、面白かったよね。

野木さんのドラマでは「この俳優さん、今まで見た中で一番好きかも」ってことがよく起こります。
『けもなれ』の新垣結衣さん、松田龍平さん、『重版出来』の安田顕さんと松重豊さん、あとオダギリジョーさんも。『逃げ恥』の石田ゆり子さん、『空飛ぶ広報室』の綾野剛さん、生瀬勝久さん、そして柴田恭兵さん! さらに『コタキ兄弟』の芳根京子さんと古舘寛治さんと滝藤賢一さん……。
野木さんは当て書きされることが多いみたいです。でもみんな彼らのステレオタイプな役柄ではなく「この人がこんな役やってるの見たことない。でもすごくいいじゃん!」と思わせてくれるようなキャラクターに仕上げてあるので、野木さんの新しいドラマが始まるときはいつもとても楽しみです。

もう折返しも近くなってきた『MIU404』。すでにちょっと寂しいんですが、来週も楽しみに待ってます。